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2022.06.01

経営】「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」の報告書を公表

政府における新たな自殺総合対策大綱の案の作成に資するよう、「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」において検討が行われてきましたが、令和4年4月15日、当該有識者会議において、これまでの検討を踏まえて報告書が取りまとめられました。報告書の内容には、個別施策として、「勤務問題による自殺対策の更なる推進」も含まれています。

働き方改革を推進するための関係法律の施行等により長時間労働の削減や職場におけるメンタルヘルス対策及びハラスメントの防止対策が進められていますが、働き過ぎ等によって尊い生命が失われたり、心身の健康が損なわれたりといった、痛ましい事態が後を絶ちません。このような状況から、勤務問題による自殺を根絶するため、過労死等防止対策と十分連携していく必要があるとしています。

その内容は次のとおりです。

●大綱見直しの趣旨~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた更なる推進~

自殺者数は基本法が成立した平成18年と、コロナ禍以前の令和元年とを比較すると男性は38%減、女性は35%減となっており、関係者によるこれまでの取組みに一定の効果があったと考えられるが、依然として、自殺死亡率は先進国の中で高い水準にあり、また、令和2年はコロナ禍の影響で様々な問題が悪化したことなどにより、11年ぶりに前年を上回る、深刻な状況。

これまでの取組みを基本に置きつつ、新型コロナウイルス感染症の影響など喫緊の課題への対応も含め、今後更に取り組むべき課題を検討し、「大綱見直しに関する意見(ポイント)」において、14の論点に沿って議論の成果を整理。

■大綱見直しに関する意見(ポイント)

【総論】

① 関連施策及び関係機関の有機的な連携を図り、総合的な対策を推進

・包括的な対応を図る生活困窮者自立支援制度や孤独・孤立対策、子どもへの支援策、地域共生社会の実現に向けた取組みといった関連施策との連携

・地域における関係機関の連携と体制の充実

・精神科医療、保健、福祉施策との連携

② 新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた支援

・自殺への影響の更なる分析やICTの活用、社会的セーフティネットの強化

③ 自殺者及び自殺未遂者、それらの者の親族の名誉及び生活の平穏への配慮

【個別施策】

④ スティグマの解消

・「自殺は、その多くが追い込まれた末の死である」ことやゲートキーパーの役割等の普及啓発の推進

⑤ 相談体制の充実と、支援策や相談窓口情報等の分かりやすい発信

・メール・SNS等を用いたインターネット相談窓口の活用、相談員に対する組織的なフォローの実施

・個人事業主等への相談支援

⑥ 精神科医療につなぐ医療連携体制の強化

・医師等と地方公共団体が連携し、多職種でサポートする体制や、多様な医療機関や診療科の連携を推進

⑦ 子ども・若者の自殺対策の更なる推進

・心の健康の保持に係る教育及び啓発等の更なる推進、及び関係機関の連携等による環境・体制整備

⑧ 女性に対する支援

・コロナ禍における女性支援

・妊娠されている方への支援

⑨ 勤務問題による自殺対策の更なる推進

・過労死防止対策等との十分な連携、及びテレワークの適切な運用を含めた職場におけるメンタルヘルス対策の更なる推進

⑩ 遺された人への更なる支援

・遺族の自助グループなどと連携した課題解決、及び自死遺族の方から学ぶ機会の確保

⑪ インターネット利用への対応

・サイバーパトロールや検索連動広告といったICTを活用したアウトリーチの取組みの継続実施、及び誹謗中傷の対策強化の検討

⑫ 自殺報道等への対応

・自殺報道ガイドラインを踏まえた対応の要請

⑬ 自殺総合対策の更なる推進に資する調査研究等の推進

・疫学的研究や科学的研究も含め、必要なデータやエビデンスの収集の更なる推進

【施策の推進体制】

⑭ PDCAサイクルの更なる推進、数値目標の設定

・国及び地方公共団体において、エビデンスに基づいた政策となるよう新大綱に基づく施策の実施状況、目標の達成状況等を定量的に把握し、その効果等を評価

・令和8年までに自殺死亡率を平成27年と比べて30%以上減少させることとしている現大綱の数値目標を継続(平成27年18.5 ⇒ 令和8年13.0以下)

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]https://www.mhlw.go.jp/stf/jisatsusougoutaisaku_houkokusyo220415.html

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