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2023.02.01

【労務】「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」を公表

労働政策審議会労働条件分科会は、令和4年12月27日、今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について、検討結果を取りまとめ、公表しました。同分科会では、令和4年5月27日以後9回にわたり「無期転換ルールに関する見直しと多様な正社員の雇用ルールの明確化等」について検討を行い、また、令和4年8月30日以後9回にわたり「今後の労働時間法制の在り方」について検討を行い、精力的に議論を深めてきました。

それらの議論について、一定の結論に達したということで、この報告がまとめられました。

Ⅰ労働契約法制

1 無期転換ルールについて

(1)無期転換ルール

○制度の活用状況を踏まえると、無期転換ルールの導入目的である有期契約労働者の雇用の安定に一定の効果が見られるものの、制度が適切に活用されるよう必要な取り組みを更に進めることが適当である。

(2)無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保

○無期転換ルールに関する労使の認知状況を踏まえ、無期転換ルールの趣旨や内容、活用事例について、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。

○無期転換申込権が発生する契約更新時に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件について、労働基準法の労働条件明示の明示事項に追加することが適当である。

○この場合において、労働基準法の労働条件明示において書面で明示することとされているものは、無期転換後の労働条件明示にあたっても書面事項とすることが適当である。

(3)無期転換前の雇止め等

○無期転換前の雇止めや無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱い等について、法令や裁判例に基づく考え方を整理し、周知するとともに、個別紛争解決制度による助言・指導にも活用していくことが適当である。

○紛争の未然防止や解決促進のため、更新上限の有無及びその内容について、労働基準法の労働条件明示事項に追加するとともに、労働基準法第14条に基づく告示において、最初の契約締結より後に、更新上限を新たに設ける場合又は更新上限を短縮する場合には、その理由を労働者に事前説明するものとすることが適当である。

(4)クーリング期間

○クーリング期間に関して、法の趣旨に照らして望ましいとは言えない事例等について、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。

(5)無期転換後の労働条件

○無期転換後の労働条件について、有期労働契約時と異なる定めを行う場合を含め、法令や裁判例に基づく考え方、留意点等を整理し、周知に取り組むことが適当である。

○無期転換後の労働条件について、労働契約法第3条第2項を踏まえた均衡考慮が求められる旨を周知するとともに、無期転換申込権が発生する契約更新時の無期転換後の労働条件等の明示の際に、当該労働条件を決定するにあたって、労働契約法第3条第2項の趣旨を踏まえて均衡を考慮した事項について、使用者が労働者に対して説明に努めることとすることが適当である。

○正社員への転換をはじめとするキャリアアップの支援に一層取り組むことが適当である。

(6)有期雇用特別措置法の活用状況

○有期雇用特別措置法の特例について、特例の存在が十分に認知されていない現状があるため、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。

2 労働契約関係の明確化について

○多様な正社員に限らず労働者全般について、労働基準法の労働条件明示事項に就業場所・業務の変更の範囲を追加することが適当である。

○労働契約法第4条の趣旨を踏まえて、多様な正社員に限らず労働者全般について、労働契約の内容の変更のタイミングで、労働契約締結時に書面で明示することとされている事項については、変更の内容をできる限り書面等により明示するよう促していくことが適当である。

○労働基準法の労働条件明示のタイミングに、労働条件の変更時を追加することを引き続き検討することが適当である。

○紛争の未然防止のため、多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する裁判例等を幅広く整理して明らかにし、周知徹底に取り組むことが適当である。

○就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等、就業規則を必要なときに容易に確認できるようにする必要があることを明らかにすることが適当である。また、就業規則の更なる周知の在り方について、引き続き検討することが適当である。

○短時間正社員については、処遇について、正社員としての実態を伴っていない場合には、パート・有期労働法の適用があり、均衡・均等待遇が求められることや、同法が適用されないそれ以外の多様な正社員においても、労働契約法第3条第2項による配慮が求められることを周知することが適当である。

3 労使コミュニケーションについて

○労使コミュニケーションに当たっての留意点や、適切に労使コミュニケーションを図りながら、無期転換や多様な正社員等について制度の設計や運用を行った各企業の取組事例を把握して周知することが適当である。

○過半数代表者の適正な運用の確保や多様な労働者全体の意見を反映した労使コミュニケーションの更なる促進を図る方策について引き続き検討を行うことが適当である。

Ⅱ労働時間法制

1 裁量労働制について

(1)対象業務

○企画業務型裁量労働制(以下「企画型」という。)や専門業務型裁量労働制(以下「専門型」という。)の現行の対象業務の明確化を行うことが適当である。

○銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務について専門型の対象とすることが適当である。

(2)労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保

(対象労働者の要件)

○専門型について、対象労働者の属性について、労使で十分協議・決定することが望ましいことを明らかにすることが適当である。

○対象労働者を定めるに当たっての適切な協議を促すため、使用者が当該事業場における労働者の賃金水準を労使協議の当事者に提示することが望ましいことを示すことが適当である。

○対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更しようとする場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うこととすることが適当である。

(本人同意・同意の撤回)

○専門型について、本人同意を得ることや同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないこととすることが適当である。

○本人同意を得る際に、使用者が労働者に対し制度概要等について説明することが適当であること等を示すことが適当である。

○同意の撤回の手続を定めることとすることが適当である。また、同意を撤回した場合に不利益取扱いをしてはならないことを示すことや、撤回後の配置や処遇等についてあらかじめ定めることが望ましいことを示すことが適当である。

(業務量のコントロール等を通じた裁量の確保)

○裁量労働制は、始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを示すことが適当である。

○労働者から時間配分の決定等に関する裁量が失われた場合には、労働時間のみなしの効果は生じないものであることに留意することを示すことが適当である。

(3)労働者の健康と処遇の確保

(健康・福祉確保措置)

○健康・福祉確保措置の追加(勤務間インターバルの確保、深夜業の回数制限、労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の適用解除)、医師の面接指導)等を行うことが適当である。

○健康・福祉確保措置の内容を「事業場における制度的な措置」と「個々の対象労働者に対する措置」に分類した上で、それぞれから1つずつ以上を実施することが望ましいことを示すことが適当である。

○「労働時間の状況」の概念及びその把握方法が労働安全衛生法と同一のものであることを示すことが適当である。

(みなし労働時間の設定と処遇の確保)

○みなし労働時間の設定に当たっては対象業務の内容、賃金・評価制度を考慮して適切な水準とする必要があることや対象労働者に適用される賃金・評価制度において相応の処遇を確保する必要があることを示すこと等が適当である。

(4)労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保

(労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上)

○決議に先立って、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容について説明することとすることが適当である。

○労使委員会が制度の実施状況の把握及び運用の改善等を行うこととすること等が適当である。

○労使委員会の委員が制度の実施状況に関する情報を十分に把握するため、賃金・評価制度の運用状況の開示を行うことが望ましいことを示すことが適当である。

○労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とするとともに、労働者側委員の選出手続の適正化を図ることとすること等が適当である。

○専門型についても労使委員会を活用することが望ましいことを明らかにすることが適当である。

(苦情処理措置)

○本人同意の事前説明時に苦情の申出方法等を対象労働者に伝えることが望ましいことを示すことが適当である。

○労使委員会が苦情の内容を確実に把握できるようにすることや、苦情に至らないような運用上の問題点についても幅広く相談できる体制を整備することが望ましいことを示すことが適当である。

(行政の関与・記録の保存等)

○6か月以内ごとに行うこととされている企画型の定期報告の頻度を初回は6か月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回とすることが適当である。

○健康・福祉確保措置の実施状況等に関する書類を労働者ごとに作成し、保存することとすることが適当である。

○労使協定及び労使委員会決議の本社一括届出を可能とすることが適当である。

2 年次有給休暇について

○令和7年までに「年次有給休暇の取得率を70%以上とする」という政府の目標を踏まえ、年次有給休暇の取得率の向上に向け、好事例の収集・普及等の一層の取組を検討することが適当である。また、年5日以内とされている年次有給休暇の時間単位での取得について、年5日を超えて取得したいという労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組を促すことが適当である。

3 今後の労働時間制度についての検討

○働き方改革関連法で導入又は改正された、時間外労働の上限規制、フレックスタイム制、高度プロフェッショナル制度、年次有給休暇制度等は、同法の施行5年後に、施行状況等を踏まえて検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとされていることを踏まえ、今後、施行状況等を把握した上で、検討を加えることが適当である。

○その際には、働く方の健康確保という原初的使命を念頭に置きながら、経済社会の変化や働き方の多様化等を踏まえ、働き方やキャリアに関する労働者のニーズを把握した上で、労働時間制度の在り方の検証・検討を行うことが適当である。

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30073.html

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